市民のみなさまへ

●学校、幼稚園、保育園における感染症


ウイルスや細菌などの病原体が体内に入って起こる病気を感染症といいます。
感染症にかかってしまったら、お薬を飲んだり安静にして病気が治るように努めるとともに、
他の健康な人に病気をうつさないようにすることも重要です。
感染症の種類によっては、他の人にうつしやすい期間は学校を休むことが学校保健安全法という法律で決められており、幼稚園や保育園もこれに準じています。
学校保健安全法は数年ごとに改正されていますが、平成24年4月に改正された最新のものは次のようになっています。(下線部分が今回改正された箇所です。)
  病気の種類 出席停止期間の基準


エボラ出血熱 治癒するまで
クリミア・コンゴ出血熱
痘そう
南米出血熱
集団
ペスト
マールブルグ病
ラッサ熱
急性灰白髄炎(ポリオ)
ジフテリア
重症急性呼吸器症候群
(SARS)
鳥インフルエンザ
(H5N1型)


インフルエンザ
(鳥インフルエンザH5N1を除く)
発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日(乳幼児では3日)を経過するまで
百日咳 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
麻しん(はしか) 解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
風しん 発しんが消失するまで
水痘(みずぼうそう) すべての発しんが痂皮化するまで
咽頭結膜熱 主要症状が消退した後2日を経過するまで
結核 感染のおそれがなくなるまで
髄膜炎菌性髄膜炎


コレラ 感染のおそれがなくなるまで
細菌性赤痢
腸管出血性大腸菌感染症
腸チフス
パラチフス
流行性角結膜炎
急性出血性結膜炎
その他の感染症

第一種の病気は原則として治癒するまでは入院治療が必要なので、退院可能になれば登校登園ができます。
それぞれの病気ごとの出席停止期間の基準は表の通りですが、『ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときはこの限りではない。』とされています。
インフルエンザの出席停止期間の『解熱した後2日を経過するまで』とは『48時間発熱がない』ことではありません。
たとえば、月曜日の朝に発熱があって昼から解熱しても、登校できるのは水曜日の昼ではなく木曜日の朝からです。麻しんの出席停止期間も同様です。
第三種『その他の感染症』を除く第二種、第三種の病気の場合、なおって出席可能になったら主治医または学校医に『登校登園許可証明書』または『治癒証明書』を書いてもらって学校、幼稚園、保育園に提出して下さい。

第三種の『その他の感染症』について

(日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会『学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説』2012年1月改訂版より)

1.条件によっては出席停止の措置が必要と考えられるもの

(1) 溶連菌感染症

適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力はなくなるので、それ以降は登校登園が可能です。

(2) A型肝炎

発病初期を過ぎれば感染力は急速に消失するので、肝機能が正常になれば登校登園が可能ですが、よく手を洗いましょう。

(3) B型肝炎

急性肝炎の急性期でない限り、登校登園は可能です。B型肝炎ウイルスキャリアの登校登園は一般には制限する必要はありません。

(4) 手足口病

感染するとウイルスの排出期間は2~4週間と長期であり、また不顕性感染といって症状がなくても感染していて周囲のヒトに病気をうつす場合もあるので、登校登園を停止にすることは集団内での感染予防に有効ではありません。発熱がなく全身状態が良ければ登校登園は可能です。

(5) ヘルパンギーナ

手足口病の場合と同じで、全身状態が安定していれば登校登園が可能です。

(6) 伝染性紅斑(リンゴ病)

発疹が出現して本症と診断された時点では他への感染力はほとんどなくなっているので、発疹のみで全身状態のよい場合は登校登園が可能です。

(7) ロタウイルス感染症、ノロウイルス感染症

症状がある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校登園が可能ですが、よく手洗いをしましょう。
登校登園の目安としては、①発熱がない、②嘔気嘔吐がなくなり、ある程度食べたり飲んだりできる、③乳幼児ではオムツからあふれるような水様で多量の下痢便がない、就学児ではおもらしせずトイレで排便できる、ことです。

(8) サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く)、カンピロバクター感染症

下痢が治まれは登校登園が可能です。

(9) マイコプラズマ感染症

発熱がなく咳が減ってくれば登校登園が可能です。

(10) RSウイルス感染症

軽度の咳だけで、ひどいゼーゼーや呼吸困難がなければ登園が可能です。

(11)突発性発疹

突発性発疹は子供から子供へうつるとはいわれていません。熱がなければ、発疹がでていても登園は可能です。

2.通常は出席停止の措置は必要ないと考えられているもの

(1) 伝染性膿痂疹(とびひ)

ジクジクした汁が出ている時はガーゼなどでおおって下さい。

(2) 伝染性軟属腫(ミズイボ)

ピンセットでの摘除など、治療できるものは治療して下さい。

(3) 頭じらみ

市販のスミスリンシャンプーで洗髪して下さい。

(4) 帯状疱疹

発疹の部位はガーゼなどでおおって下さい。


(佐々木伸彦)